ディオールのフィナーレより。 © ADRIEN DIRAND © DIOR
記録的な熱波に見舞われた今年7月のパリ。
6日から9日までの4日間に30ブランドが公式参加した。
新世代を担うデザイナーたちの夢と、それを形にする熟練職人たちの手仕事が融合し、
それぞれのメゾンの伝統を新たな時代へとつないだ。
BALENCIAGA COUTURE(バレンシアガ クチュール)

昨年クリエイティブディレクターに就任したローマ出身のピエールパオロ・ピッチョーリによる初のクチュールコレクション。35℃近い猛暑のなか、炎天下に設けられた円形のランウェイで発表された。強い日差しにも負けない鮮やかなカラーパレットがフレッシュな印象を与え、コクーンドレスをはじめとするクリストバル・バレンシアガの彫刻的なシルエットを、テクニカル素材で軽やかに表現した。
CHANEL(シャネル)

マチュー・ブレイジーによる2度目のオートクチュールコレクションは「ガブリエルと豆の木」と題して「シャネルの服に宿る物語性」を追求。会場には、童話『ジャックと豆の木』に登場する大きな木が出現した。シルクモスリンのドレスやツイードのスーツには、木の葉や花びら、ミノムシ、てんとう虫、カササギなど自然界の動植物を思わせるモチーフが、凝った刺繍や繊細なアップリケ、複雑な織りやレイヤリングなど、多彩な技法で取り入れられた。
DIOR(ディオール)

ジョナサン・アンダーソンによる2回目のオートクチュールショーは、前回と同じロダン美術館で開催。ロエベ時代にもコラボレーションした彫刻家リンダ・ベングリスのブロンズ作品から着想を得て、クラシックな「プリーツ」をフィーチャーした。ラメや刺繍が放つイリデザントな輝きに、幾重にも重なるプリーツや絞りの着物を思わせるクリンクル加工を組み合わせ、伝統的な職人技でドレスやスーツに豊かな奥行きを与えた。
GIORGIO ARMANI PRIVÉ(ジョルジオ・アルマーニ・プリヴェ)

シルヴァーナ・アルマーニによる2シーズン目のオートクチュールコレクションは、フランソワ1世通りのパラッツォ・アルマーニで発表された。貴婦人の化粧部屋「Boudoir(ブドワール)」からイメージを膨らませ、ナイトガウンのようにゆったりしたシルエットを展開。黒に限りなく近いブルーやグリーン、ほのかな輝きを放つ刺繍が月夜を思わせ、デイスーツとイヴニングドレスの境界線をあえて曖昧にし、リラックス感を演出した。
JEAN PAUL GAULTIER(ジャンポール・ゴルチエ)

オランダ出身の新鋭デュラン・ランティンクが初めてオートクチュールに挑戦。18世紀フランスの宮廷服から着想し、ヒップからチュールが滝のように流れ出すドレスや、カプリパンツにサテンのミュール、黒いリボンを長く垂らした髪型など、王侯貴族の華やかさをユーモラスに再解釈した。1997年のオートクチュール初参加時には新世代として注目されたジャンポール・ゴルチエ本人も、約30年を経た今、フロントロゥからデュランが描くメゾンの新章を見守っていた。






